ゼロのお話。

2015/09/03, 09:18

■ふと
l_062.png

昨日の記事で、

 「ぜろのて?れいのて?」

的なお話をさせて頂きました。
そのなかで、ゼロとレイはどちらも音読み(外来語)だけれど、
確かゼロが先で、中国だかに輸入されたときに零(レイ)と合体したような…?
けれども確かゼロの語源はシフル(sifl…アラビア語で空)なのになぜ「ゼロ」…?

と気になったので、さっくり調べてみました。
■ぜろ
fuujinsama.jpg

まず、大元の語源。
数学上の「0」という概念が古代インドで発見されたのは、有名ですね。
このときの名前は、サンスクリット語でシューニャ(?????, ??nya)とされます。
シューニャの意味は「膨れ上がった」「うつろな」ですが、膨れ上がるとスペースができますよね。
そこを指して空白、無、空(から)の意味で使われるようになったそうです。

それらの扱いや手法を、ブラーマグプタブラーマ・スプタ・シッダーンタ(サンスクリット語)として出版し、
ムハンマド・アル・ファザーリヤークブ・イブン・タリクがアラビア語に翻訳し、
アル=フワーリズミーがラテン語に翻訳して、西欧に広まった…と。

その翻訳過程で、シューニャも変遷していきました。
ただ、シューニャたん上陸には2つのルートがあって、最後には交じり合っている。
一個ずつわかりやすくいきましょう。
一つ目は、ゼロに直接つながる流れ。


___
シューニャ(?????) ※サンスクリット語
 ↓
シフル(sifr) ※アラビア語
 ↓
ゼフィルム(zephirum) ※フィボナッチ兄貴の素敵訳(ラテン語)
 ↓
ゼフェロ(zefero) ※ラテン語がイタリア語に取り込まれる際の約束事通過後の形
 ↓
ゼロ(zero) ※イタリア語の約束事で再整理した形
___

フィボニキがポエティックなトランスレーションをブチあげたお陰でこんなことに。
しかしこれはガチなお話でして、文章として残っちゃってる。
数学ちんぷんかんぷんな私でも聞いたことのある「算盤の書(Liber Abaci)」の冒頭で、

 9つのインドの数は、1,2,3,4,5,6,7,8,9である。
 これら9つの数に記号0を加えれば、
 どのような数でも書き表せるだろう。


と言及しているのです。
数字ではなく記号として0を扱っていますが、そういう数学上の云々はさておき。
ただ、これは日本語訳なワケで、じゃあ原文(13世紀ラテン語)だとどうなるの?
をイタリア版wikiから引っ張ってきた結果、

 Novem figure indorum he sunt 9 8 7 6 5 4 3 2 1 Cum his itaque novem figuris,
 et cum hoc signo 0, quod arabice zephirum appellatur,
 scribitur quilibet numerus, ut inferius demonstratur.


…書いちゃってはる。
なんやねん何で西風(zepher)やねん…!!
イタリアに春を告げる爽やかな春の西風のように、数学界にも新しい春がってことか!!
確かに「0」という概念はすごく斬新だったのはわかるけども!!
なんか、なんかこう、
マタニティ・ハイで子供に光宙(ぴかちゅう)とか心太(しんた※ところてん)みたいな!?
テンション上がっちゃったのはわかるんだけどもだな!?



■さいふぁー
cyphergundam.jpg

ともあれそんな感じで、パスタとピザの国イタリアではzeroとして定着したワケです。
他方、もうひとつシューニャたん上陸ルートがあった。
きっかけとしてはおそらくレコンキスタかとは思いますが不明ながら、
アラビア語から直接に近いカタチでシューニャたんを受け入れたのがスペインやフランス。
これは、最終的に

 「サイファー(cipher,cypher)」

となります。

___
シューニャ(?????) ※サンスクリット語
 ↓
シフル(sifr) ※アラビア語
 ↓
シフラ(cifra,cifre) ※スペイン語&フランス語
 ↓
シフラ / サイファー(cifra,chiffre/cipher,cypher) ※スペイン語&フランス語


…と、ここで済んでいれば、「0」がゼロ呼称の一人勝ちにはならなかった。
シフラやサイファーにもまだ芽があった。
ですがそうならなかったのはなぜかといえば、











Renaissance.jpg

 ルネッサ~ンス。


ギリシア・ローマ文化への復興回帰運動がイタリアを中心として興りました。
固有名詞や表現技法などもバッチリ文化ですから、ルネッサ~ンス。
同じ意味であれば、CypherよりZeroのほうがルネッサ~ンスやないか!!となります。
そうしてCypherたん、スペインやフランスから「0」の意味としては追いやられてしまいました。

いまでは「アラビア数字」や「暗号」といった別の意味を担うことで生き残っています。
一応は言い換えとして「0=Cypher」も成り立ちますけどね!
あるいは、シューニャたん由来ではない、ラテン語の「何も~ない」を意味する

 nullus → null

として、ドイツ語あたりではゼロではなくヌルが使わガッ



■れい
ともかく、「ゼロ」についてはわかりました。
インドからアラビアに渡ってイタリアで発展し、ルネッサンス&大航海で世界に広まっていった。
では、もうひとつの「レイ」はどうなん?
を調べたところ、これは当時の中国で使われていた漢語、

 「零」

によるものであったことはわかりまし…調べずともアタリはつきますけども!
ただ、ドンピシャの「ゼロ」の意味ではありませんでした。
昨日の記事でも触れましたが、現代日本語での零を使う場合もそうですが、

 「僅かにはある」
 「まったくナッシングではない」

という意味。
むしろ、もともとの零は小雨の意味。
それが転じて上のような意味になったわけで、ゼロがくっついたのは更にその後。
ゼロってぇのは、それはもう、無であり、虚空です。
ゼロとレイの違いはこちらをご参照いただくとして。
zeroが古代中国に入ったルートについては、明らかになっていないようです。
年代的におそらくシルクロード経由であろうとは思いますが…!

日本で「零(ゼロ)」と呼ぶようになったのは、上にもある通り明治以降のようです。
厳密には違う意味ながら、だいたいはおんなじ「零」と「zero」をうけて、
じゃあzeroに零の字をあてよう、となったのではという一説。
それ以前は中国産の「零(レイ)」だったのでしょうね。



■まとめ
・ゼロ&レイともに外来語。
・ゼロは欧州出身、レイは欧州から中国に入ってくっついたことば。
・ゼロは全く無い状態、レイは少しある状態も含む。
・「ぜろのて」「れいのて」「ぜろのしゅ」「れいのしゅ」どれでもええんちゃうかな。
・ルネッサ~ンス。


phとfについては以前にも取り上げました (→Phantasy,Fantasy)が、
こういう言葉の変遷はおもしろいですね。
学生時代にもっと勉強しておけばよかったー。
しかし、ゲームを通じてとはいえこうした機会に恵まれたのは良かった!

語感やスキル連動でゼロとするのもいいし、歴史的経緯や親近感からレイでもいい、と考えます。
…放送局あたりで言及されていそうではありますけどもね!
正式名称でなければならないこともなく、大きな間違いでなければ問題ない部分。
そして、ゼロとレイは根源を同じくすることば。
ならええじゃないかええじゃないか。

何かの参考になるかもわかりませんが、私が楽しく知識を得られたから良かった!
それでいいのだ!
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COMMENT

今になってヤスミノコフ9000Mを手に入れて有頂天になっている新米アークスです。9mm機関拳銃が好きなんです
ずっとゼロだと思ってたんですがそんな過去があったとは!
レイも捨てがたいですね…どう呼ぼうかなぁ
2015/09/03(木) 22:04:41 |URL|名無乃権兵衛 #- [EDIT]
◆ななし壱号さん
コメントありがとうございます。
同志!ようこそいらっしゃいました!
…最近はガンナーのお話よりは、こういう関係ない記事ばかりですけども…!
個人的には「れいのて」が意味も通じるし違和感も少ないのですが、
長いものには巻かれるスタンスで「ぜろのて」な私です。
じぶんをつよくもちたい!
2015/09/05(土) 19:33:43 |URL|松乃雪 #- [EDIT]

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