チェーホフの双機銃。(お芝居)

2015/10/28, 09:00

■チェーホフ先生ガンナー説
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今回の記事は、キャラが会話してお話が進む…いわゆるキャラクター対話型です。
そういう二次創作的なやりとりはちょっとキビシイ!な方はご注意くださいね!
見たところでPSO2にはほとんど関係ない記事ですから…!

こちらは「未来へ向かって」の龍神丸さんからの、私勝手なリレー記事。
元記事はこちら → standing real, moving reality
舞台やお話の手法である「デウス・エクス・マキナ」についてのお話!
…から、こちらでは「チェーホフの双機銃」のお話!
それではいってみよう!







__________
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「ぉーおかえり,夕飯はお好み焼きや…ってどしたん、むずかしーい顔して。」
「…図書館でノベルを読んできたのだが、いささか消化不良でね。」
「ぉう?小説かなんかか?」
「要点を得ないファーブラ、因果を忘れたシュジェートはまだ良い。
      あの"帽子の女"は何だったんだ…。」
「…ふぁ?じぇー?」
「ストーリーとプロット、と言えば伝わるか?」
「あー、そんなら分かるけども…おもろなかってん?」
「いや、全体としては面白かった。」
楽しんどるやないかい。
「いや、主人公の境遇は分かったし、感情移入もできた。物語としては及第点だ。
      だが、最序盤のターニングポイントで描かれた"帽子の女"が、終幕でも出ず終い!
      あれだけ意味深に描写しておいて…実に"まさかり仕事"きわまる。」
■ロシア文学ってなぜどれもこれもクッソ重いのか
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「ふーん…とりあえず、どんなお話やってん?」

「あらすじはこうだ。
      オラクルに、人語を解し、人と暮らすリリーパ族がいた。
      しかしある日、想定外のエラーで未知の惑星に飛ばされてしまう!
      転送される瞬間、彼が目にしたのは、薄ら笑う"帽子の女"だった…。」

「ふんふん。」

「飛ばされた先は異文化の星。通信もままならぬ、未知の土地。
      生きるためにもがく最中、ARKSからの通信がようやく届く。
      それは回収装置転送先を指定するもので、場所がなんと高級住宅地!」

「ぉおー?」

「回収装置を確保するには、まず土地と家を所有せねばならない。
      所有するためには…そう、働いて金を貯めねばならない。
      彼は、オラクルへ帰還するため、未知の世界で職を求める…。」

「裸一貫から家て…!
      ちょびーっと間借りでええんならええのになー。
      ホンマ、頭かったいお偉いさんのせいでウチらが苦労すんねん。」

「それでも彼は様々な困難を乗り越え、着実に収入を蓄え…
      念願叶い土地と家を購入し、当初の目標を達成する。
      しかし…人々との出会い。紡がれし絶ち難き縁。揺れる心。
      帰るのか、留まるのか。果たして、彼が下した決断とは…!?」

「おぉ…SFコメディめいてヒューマンドラマまで。
      …んや、リリーパドラマ…?」

「ところで、いまのあらすじで気になったことはないか?」

「…あ~、"帽子の女"が最初しか噛んそうなんだよ!!
「"帽子の女"が転送事故の黒幕と推測もできるが、他の描写がない。
      伏線に使われてもいないのに、これでは困るんだ。」
      
(面倒やな…)や、確かに気になるけど…まぁるく収まればエエんちゃうの?」

「それも正しいが、プロッティングの基本は抑えてほしいのも本音だ。」

「プロッティングの基本、っちゅうと?」


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「まず、小説や演劇は"三幕構成"とされる。
      劇や物語の進め方、その基礎であり、普遍な評価軸だ。
      第一幕は設定、第二幕は対立、第三幕は解決。時間配分は1:2:1が基本。
      例外ももちろん存在するが、例外は基本あるがゆえに成り立つ。」

「いきなりなんや、こんまいなぁ。」

「なにを言うんだ、"序破急"や"起承転結"が君らの文化にもあるだろう?」

「ほー…って、起承転結やったら四やん。」

「そこは時間配分だ。第一幕で起、第二幕は承と転、第三幕が結…になる。
      実際、この流れが基本的な一連として展開される。」

「ふーん…1:2:1の2に承と転か、それなら収まんねんな。」


「他にも様々あるが…今回はここからが本題だ。
      チェーホフの銃という技法がある。詳細は外部情報網に譲るが…」「なんやエラくメタいな…。」

「わかりやすく抜粋すれば、こうだ。」


   もし第一幕で「壁にライフルが掛けてある」と述べたなら、
   第二幕か第三幕で、それは必ず発砲されなければならない。
   もし、それが発砲されないなら、
   そのライフルはそこに掛けられるべきではない。



「要約すると、無用の要素をストーリーに盛り込むべからず、になる。」

「なんとなくわかるような、わからへんような…。」

「そうだな…例えば、キミの冒険活劇を書くとしよう。
      舞台は秋風吹き抜けるハルコタン、悪の組織を単身切り崩す!
      躍動する四肢、唸りをあげる銃砲、飛び散る汗と血!!」






「ぉお、ウチそういうのちょっと憧「に、(じい)のお茶休みがカットイン!!










「ちょっ待てェ!!」

「これが後々に活きてくるなら、まったく良いんだ。
      亡き祖父の面影とか、実は敵方だったとか、何でも良い。」

「いやアカンて。既にアカン。台無しやん、ウチは認めんぞ。」

「何らかの伏線だったならば、違和感はそのままカタルシスにも繋がる。
      しかし、爺の登場シーンがそれきりだったらどうだ?」

「意味わからんことになる、なんで出てきたんや!って…あ。

「そう、件の"帽子の女"と同じ。
      読者に無用、かつ思わせぶりな情報はナンセンスなんだ。
      緻密な描写を求める余り、不要な部分まで描いてしまう。
      結果、ストーリーの足を引っ張る…なんて、実に惜しい過ちだ。」




「せやけどほらアレ、ミスリード?いうのもあるやん?」
燻製ニシンも、優れたストーリーテリングに寄与する。
      だが、それも伏線となるのならばであって、ならないのであれば悪手だ。
      単に読者を欺くためだけに存在させるのは、認めたくないね。」

「認めたくないーて、そない感覚的なことでええんか?」

「もちろんだとも。
      読者が最後に「楽しかった!」と思えるのなら、なんだっていい。
      "帽子の女"が気にならない、覚えていない読者もいるだろう。
      しかし"帽子の女"は、なくてもなんら問題のない描写だった。
      であれば、ニシンの燻製にはなりえず、チェーホフの銃でしかない。
      些細なことであろうと、現時点では明確に単純な失点だ。
      続編や後日談で明らかになれば、解決できるんだが…。」


「えー…あー、つまりあれか、オマエは細かいやっちゃと。」

「…まぁ、それでいい。
      気付かぬ様を安穏と称するほど老いてはいないつもりだ。」

「へいへい、せこせこしてっとハゲるで?ハゲてねぇし!
「青魚とらなアカン。丁度や、今日はニシンの燻製!」

「それなら、早いうちに買い出し係へ通告すべきだな。」

「せやな、まだショップエリアにおるやろ。
      (ピピピッ) おーい、毛むくじゃら!」


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「はーい、なんですかぁ~。」

「ニシンの燻製も追加や!買うてきてな!!」













「…えっ、」

今晩はオコノ・ミヤキじゃないんですか!?
      海産品店は別ブロックなんですけど!?」

「夕飯とは別!ツマミにもなるしええや~ん、頼むわ!このとーり!」

「…はぁ、もー、しょうがないなぁ。
      そのかわり、僕のぶんはアゲ・ダマをいっぱい頂きますからね!」

「わーったわーった!
      あぁ、燻製なんていつぶりやろか…。
      なに飲もか、ショーチューもええしワインも…!」

「…ひどいニヤケ顔だな。鏡を取ってこようか?」

「ニシンがないかもですけど、良いですかー?」

「かまへんかまへん、魚の燻製ならええわ!頼んだで!
      んふふー、楽しみやなぁ♪」



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■はいっ

というわけで、本日のテーマは

 「チェーホフの銃」

でした~。
リレー元の龍神丸さんが「デウス・エクス・マキナ」、こちらがチェーホフの銃ですが、
どちらもいわゆる高難易度手法です。
使っちゃダメ!ではないけれど、使うの難しいよー、という。
キャラには幸せ(極稀に、不幸に)なって欲しい!タイプの陥りやすいのが前者で、
キャラ設定をイロイロ盛っちゃうタイプの陥りやすいのが後者。
イヴァンくんが語る通り、要素を出すだけ出してほったらかし、が主な症状ですね。
両方を併発することも割合よくあったりします。
…単純に構成力不足で破綻した尻拭いに発症、も間々あるのが哀しい現実。

これらは、物語への没入感や感情移入の大きな妨げとなります。
なんでもかんでも神のチカラで解決できちゃうなら興醒めしてしまうし、
仰々しく「こいつスゲーんだぜ!」が並べば白けてしまうし、
結局使われない無駄設定が詳細に語られると、今後の情報もガラクタに思えてしまいます。
チェーホフの銃をやらかしておきながら、これはミスリードだ!なんてのもあります。
そこまでいくと、ちょっとイロイロと厄介ですけども。

…ともあれ、結局は

 「読者(果ては自分)が楽しければオッケー

なのです。
身も蓋もないけれど、明確にそう。

_____
ただ、チェーホフの銃は、
物語が完結していない場合に限り、後からいくらでも解決できます。
単純に、掛けられていたライフルの引き金を引くだけで良いのだから。

しかし、敢えて引かない選択も許されます。
そして、引き金を引くか否か?は作者と演者に任されます。
観客が舞台に上がって引くことは、許されません。

こればかりに拘泥しては本末転倒ですが、重要な示唆となる、チェーホフの銃。
物語を作る人も見る人も、これを片隅に入れておくとより楽しい、かもしれません!
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COMMENT

PSO2の場合、EP2のウォパルから届いた謎の通信機が見事にこのお作法に反してますねー。
2015/10/28(水) 14:21:19 |URL|名無乃権兵衛 #- [EDIT]
物語の制作者がこれを心がける事は原則として正しいと思います。
ただこれって、続けるつもりがあるのか無いのかは当事者だけが知るものであり、それらの制作の背景まで知らない人が、外野から批判するのはどうなのかとは、ちょっと思いますw
つまり極端な話、本当は今後の展開の為に張られた伏線だったのに、途中で打ち切りになればそれは宙ぶらりんになるわけでw
たとえば、初代ガンダムですら本放送で打ち切りにつれ木星がらみの伏線をなんとかフォローして、それでも漏れているところが少しあるのに、そのフォローによってそれを察する事が出来なかった視聴者が「ガンダム面白いけど制作で初歩的な部分にミスがある」という指摘をするのはどうなのか、という話ですw
また、指摘を見るにどうらやロシアの古典のように見受けられますが、「どう見てもその作品はそんな打ち切りにあったとは思えない」と言ったところで、それは「当時の作者が打ち切りに見られない努力をしたけど、帽子の女だけはどうにも出来なかった。もちろん無理に出そうとすれば出せない事は無かったけど、それは『僕にとって』描きたい物語の面白さを損なう恐れがあって出来なかった」可能性を否定出来る物では無いと思います。
また今後作品を作る方々が、おっしゃっている原則論を破る事を恐れ、また作品が続けられない恐れから、張れば面白いはずの伏線を張らないようになるのならば、それは悲しい出来事であると思われます。
2015/10/28(水) 15:39:40 |URL|名無乃権兵衛 #J7Ti0pLo [EDIT]
↑のコメントさんを見てムムッ?っとなってしまったのでコメントさせてください┏o ペコリ
↑さんの話の流れだと「打ち切り」「打ち切り」としきりにおっしゃられていますが
これは、視聴者の意見や、スポンサー等資金を受けている上からの意向にて、変動する(ストーリーが)ものであり(TVドラマやアニメは如実ですね)。
PSOにおいては自社開発・自社出費だと思われ、自身でどうにでもできる立場に有る以上「打ち切り」とは無縁のはずです。
打ち切りが・・・となることはすなわちゲーム終了(もしくはストーリ部分の廃止)なわけで、プロデューサーが何年も遊べるRPGをうたっているところを見ると打ち切りの影はしばらくはないはず・・・
そんな環境下では「打ち切りの影」があったからしかたないというのは言い訳には出来ないと思うのです。
そこからかんがえると、長く続けるつもりでいて撃たれる事のないチェーホフの銃をあちらこちらに飾られてしまっては、むーん。。。と唸ってしまうのには私としては同感できるところです。
上手くまとまってなくて申し訳ありません。
ストーリーもうちょっと頑張って欲しかったな。。。という思いもこめてのコメントです。良くも悪くもミンナで楽しめたらいいなと思う次第です。。。ではでは
2015/10/29(木) 00:05:53 |URL|デンパスキー #grGQ8zlQ [EDIT]
お返事が年を越してしまい申し訳ありません…!

◆ななし壱号さん
そういえばありましたねー通信機。
お話を進めるためには強引さも必要ながら、そこを看過するのは…ということも侭あり、
その辺りは設定そのものや描写の積み重ねに左右されるのかなと思います!

◆ななし弐号さん
仰られている通り、あくまで原理原則に過ぎず、これに縛られることは不幸なことです。
お話を転がすなかで気が変わることもあれば、外部からの茶々で変更を余儀なくされることもあり、
伏線を巡らせ回収することが一番!という姿勢は、ちょっとどうかな?と私も思います!
たとえば「キン肉マン」著者のゆでたまご氏は伏ブン丸投げで有名だったり、
浦沢直樹氏も伏線が複数ありすぎて混線、みたいな評価もありますよね。
そのうえで、作者側はこの普遍的な技法を作者として利用する「べき」であり、
読者側は作者の意図やサインを読み取る「義務」があると考えます。
例に挙げられているガンダムでいえば、機会あれば木星絡みの補記を制作側はする「べき」で、
その描写から補完と想像・推測をするのは読者側の「義務」となりましょうか。
これを双方成しえているために、今なお続くシリーズとなっているのかなとも思います。
お話中でちらりと触れた「燻製ニシンの偽り」も含め、読者側には物差しが多数あります。
作者さんは、キレイに測れるものを目指してもいいし、規格外の面白さを創造してもいい。
基本はアタマにいれたうえで、思い思いにやって頂けたら双方が幸せ、ですね!

◆デンパスキーさん
PSO2をテーマにしたわけではないのですが(白々しい)、PSO2を軸に据えて考えると、
どうしても粗や歯抜け、設定不足に描写不足…と感じる面はありますよね。
もちろん、人的資源や時間的猶予などにも原因を求められましょうが!
しかし、EP1,2という、言うなれば銃どころではない「大砲」「大陸間弾道弾」が発射されず、
新規でもEP3から始められます!は、ストーリー破綻の大きな一手に感じてしまいます。
逆に考えれば、ストーリーは「そんな扱いで良い」と認識されている…?
…なんだか不穏なお話になる前にやめておきましょう!
EP4は地球が舞台だそうですし、「4」かはおいておいて、楽しめるといいですよねっ。
2016/01/05(火) 07:51:45 |URL|松乃雪 #- [EDIT]

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