お狐様からダキニ天とヒンドゥー教のおはなし。

2014/10/11, 09:00

■だきに
dakini01.jpg

先週 → オリエンタルテーマCにある鳥居のおはなし。

に続きましての雑文でございます。PSO2は割と本気で関係ない。


___
先週の記事では、鳥居とキツネについてのお話をしました。
要約すれば…
オラクルの鳥居は稲荷信仰をあらわすもの(稲荷鳥居)で、
稲荷神の使いである狐がモチーフとなった「妖狐のしっぽ」を装備しているキャラは、
最低でも500歳以上です。

…余談で書こうと思ったことを忘れていたため今ぶっこみました。
妖狐となった狐の尻尾は、100年経過ごとに1本増える、という説があります。
アクセサリだと6本生えていますから、生まれたときの1本+1本100年の500年。
他には善狐と野狐(良い狐と悪い狐)で変遷が違うとか、
いやいや善狐にもよくないやつはおんねんとか、割と大乱闘です。

※以下は、とあるサイトでの仮説が「これ面白いね」で広まったもののようです。
「"妖狐"としては天狐が最上位」「空狐は神に近い存在」は過去から言われるものですが、
しっぽの本数や隠居云々は、そこから派生したモノということ。
史料に書かれているものではないため、あくまでも俗説としてお読みくださいね!


簡潔に流れを記すと、

生誕(狐/1本)
→800歳(九尾狐:きゅうびきつね/9本)
→1000歳(天狐:てんこ/4本)
→3000歳(空狐:くうこ/0本)

というように、尻尾の数が変化するとされます。空狐を5000歳と勘違いしたまま書く所だった。ネットはすばらしい。
ちなみに、「稲荷狐の格」としては天狐>空狐です。
ざっくりいえば、空狐は引退・隠居した天狐。
現役バリバリで神様のお使いをする天狐のほうが、稲荷神社の現場としては重要ですから。

しかし空狐は妖狐ではなく神様なので、そういう意味では文字通り別格。
わかりやすくいえば、独立開業
尻尾が0本になるのも、神様になった=狐の姿でなくてよくなったからとされます。

あっ狐の話が止まらないやばい。


ともかく、
狐が重要なポイントだと。
オラクルにおいても、狐や稲荷の信仰があるかもしれないね…というお話でした。
それを受けての今回。
■ようやく今日の本題
640_480.jpg

日本には、稲荷神と狐のような「神使としての狐」がもう一種類あります。
それが記事冒頭のマシュマロ系女子ダキニ
日本での漢字名は荼枳尼天とか?枳尼天。
冒頭の画像をみれば分かるように、狐っぽいのに乗ってますよね。

実はダキニさん、出身地のインドでは、ジャッカルを使役しているとされます。
ここのすぐ↑の画像ね。かっこいいですよねぇー。



どことなく狐に似てますよね?
ね。


というところから、日本古来の稲荷神に習合されたのです。
細かくいえば空海やら真言宗やらめんどくさいので簡潔にフローにすれば、

ヒンドゥー
 ↓
仏教
 ↓
神道

というステップを経たことになります。


___
一番最初のヒンドゥー神話では、当初は神様ではなく、
人間の心臓を食う鬼女(○おにおんな ×きじょ)として登場します。
そのうちにヒンドゥー3最高神のひとり、シヴァ(カーリーの旦那さん)から
 「お前、ちょっとやりすぎよ?」
と言われて改心し、その後死んだ人の心臓で我慢するようになった…とか、
カーリー(殺戮と破壊の女神)のしもべとして悪鬼稼業に精を出していたところを
ブッダの兄貴に「あんまり欲張ったらアカン」と言われたとか。
諸説ありますが、ともかく心臓大好きだったことは間違いなさそうです。
それらを経ての、仏教への取り込みがあり、日本に伝わったのですね。


少し話を戻せば、ダキニin仏教で乗り物にされる狐。
現代でもそうであるように、お偉いさんの"足"は若手が務めるもの。
ダキニの乗る狐は白狐、妖狐クラスタでいう「若手の善狐」に相当します。
で、先ほども書いた神仏習合で乗りこんできた形になりますから、
稲荷狐たちは2柱の神のお世話に追われているのです。
…というのもあり、
 「逃げやがって
なんて感情があってかあらずか、神様となった空狐より、天狐のほうが稲荷狐としては人気。
…また狐話になるところだった。


ともあれ、紆余曲折あって、ヒンドゥー教や仏教、神道において神とされたのです。
位としては「~天」であるように天部。ゴッド・オブ・ゴッドの仏様達よりは低ランクの神様です。
ヒンドゥー教のゴッド・オブ・ゴッドといえば、先ほどの3最高神です。



■ひんどぅ
ヒンドゥー教は日本の神道などと同じく多神教なのですが、
 (汎神論なのだ!一神教なのだ!等のお話はとりあえずおいといてください!)
その中でも特に神レベルが高く、人気もあるの3柱…
シヴァ・ブラフマー・ヴィシュヌを、3最高神と呼びます。

まずシヴァ。
シヴァは破壊神(具体的には暴風雨)なのですが、人気です。
というのも、風水害に苦しめられはしますが、嵐は、命の源…水を齎してくれるわけです。
災いと恵みの二面性。現代風に言えばツンデレです。
そりゃあ人気も出るってもんです。
でも男ね。

ブラフマーは創造神なんですけど、そこまで人気がない。
何故かというと
インド人「ちょっとスケール壮大すぎでよくわかんね。」
ブラフマーくん、がんばったのにかわいそう。

といったところで、ヴィシュヌさん。
来週土曜にもつながるピースがここで登場です。


___
なんかマジヤベェスゲーな感じのブラフマー、ツンデレなシヴァに挟まれたヴィシュヌくん。
「何ぞキャラ付けせな…!」と思ったか、ヴィシュヌ推し陣営、一計を案じます。
それは、"すごい神様だけど身近路線"。Girl Next Door ならぬ God Next Door。
具体的には、

「みんな知っとるアレ、実はヴィシュヌ様やったんやで」
「ヴィシュヌ様はえっらい神様なのに、人間世界に降り立ってこんなこともしてくれたんやで」

というもの。…どうしようインド人の怒声が聞こえる。
これらは、アヴァターラという概念として名づけられています。
仏教開祖のブッダ(釈尊)も、ヒンドゥー教ではヴィシュヌのアヴァターラ(9番目)。
インドで仏教が衰退した(ヒンドゥー教が取って代わった)原因!という話もあるようですが、おいといて。

他に、ラーマやクリシュナという姿をとったとされます。
それらのお話を集めた、ラーマーヤナという冒険譚、バガヴァッド・ギーターという啓発本。
これも殴られかねない表現ですけど。
人間と同じように間違えたり、恋愛をしたり。
私達、現世に生きる迷える子豚もとい子羊に、寄り添う形の神…というスタイルで攻めたところ、
これが大ヒットとなります。

「神の化身なのに失敗もする。私達人間のようで、とても親近感がわきました」(40代男性・ナン職人)
「運命の人は前世でも人生を共にした人なんて、とてもロマンチックだと思います!」(20代女性・宮廷ダンサー)

というお便りを頂いているとかいないとか。
そんな感じで、10個くらいの「アレはヴィシュヌの化身なんやで」を駆使したところ、
 インド人「すげえ!ガチ共感するっす!」
と受け入れられ、今に至るのですね。
現在でも「シヴァ派」「ヴィシュヌ派」と二分されるほど、絶大な人気を持ちます。


___
といったところで本日はおしまい!
来週はもう少し、ヴィシュヌとアヴァターラについてだらだらと。
既にご存知orお気づきの方もいらっしゃると思いますが、

アヴァターラ = アバター

です。
私達が操作するキャラクターのことを「アバター」と言いますよね。
その概念について触れられたら、な感じです。
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COMMENT

なるほど!そこでアヴァターラがでてくるのですね!(詳しくは知らずに使っていました)
あ、松乃雪さんこんにちは
こういう砕けた(ふざけた?)表現で歴史や神話を翻訳する系好きです!松乃雪さんはやっぱり学校の先生というよりは塾講師があっていそうですね?
来週の展開が楽しみです!
2014/10/11(土) 11:20:02 |URL|ななしー #- [EDIT]
ヴィシュヌがえらいざっくり過ぎて泣ける
2014/10/11(土) 13:47:15 |URL|名無乃権兵衛 #- [EDIT]
神様よりも名前どおりオオカミ大好きなルーです( ´∀`)
また動物寄りでだいぶ脱線したコメントで申し訳ないのですが(;´∀`)、キツネにそっくりな生き物にコヨーテがいますが、これまたキツネと同じくインディアンの方々から神使として崇められているんですよね。
「人間の知識は神の使いであるコヨーテから伝えられた。」これがホントならキツネやオオカミやコヨーテを狩猟してる人間はものすごく罰当たりな生き物なのかもですね(;´∀`)
頭が良くて、ホピ族からは「教師」とよばれ、トリックスターと言われて狩猟の神様としても崇められている・・・なんとなく松乃雪さんをイメージしてしまうのは失礼でしょうか?・・・w
※以下Wikiより
北アメリカインディアンのほとんどの部族が、コヨーテをトリックスターとして崇めている。彼らにとって、大文字で「Coyote」と書くとコヨーテ神の意味を持っている。彼らの伝承で、コヨーテによって人間社会にもたらされたものはタバコ、太陽、死、雷をはじめとして、あらゆるものに及んでいる。
2014/10/11(土) 13:47:29 |URL|ルー #- [EDIT]
普通の狐(1本)→九尾狐(9本)→天狐(4本)→空狐(0本)の流れを呼んでなぜか、なぜか!私は人間の成長、そしてPSO2のプロデューサーを思い浮かべてしまったんですが(無邪気)
酒井さんも空狐になりつつありますからねうわなにするやめ
2014/10/12(日) 14:00:47 |URL|ありすけ #- [EDIT]
コメントありがとうございます。
◆ななしーさん
「アヴァターラというものがアバターの語源」
で済ませることなく、某アイドルグループのように「どこから作る?小麦から?」
レベルにずーっと手前から始めてみました!
途中色々と道を見失っている感も(余談の長さのせいで)ありますが、
来週も楽しんで頂けるものを書けたらと思います!
またお越しくださいね。
◆ななし壱号さん
ヴィシュヌさんは来週の主役だから…今週は少しで…!
バガヴァッド・ギーター、実家にあったと思うのですが送って貰おうかなぁ。
ちなみに超絶ライトな仏教徒の家です。
◆ルーさん
インディアンのコヨーテ信仰も有名ですよね!
来週の雑談(本文自体がそうともいう)でインド的動物観に触れようと思っていますが、
ところかわれば…で、そういった関係性もなかなか面白いですよね。
ダキニの神性(貪り食うもの)とジャッカルの性質(死肉も食べる)がリンクしていたりします。
逆にエジプト神話では墓守として考えられていたり。
このあたりも次回で触れられたらと思います。
私自身はいたいけでか弱いウサちゃんです!
◆ありすけさん
朝は四本、昼は二本、夕は三本…の謎かけになんだか似ていますね。
…本は本でも足の数ですからね!決して抜け毛の(以下略
2014/10/13(月) 06:15:45 |URL|松乃雪 #- [EDIT]
天狐が四本とか空狐が引退したとかは、実はとあるスピリチュアル系のサイトさんが書いてた事がWikipediaにコピペされて広まってしまった話で、典拠となる史料が確認されないちょっと今どき過ぎる説かと思われます。
そのサイトさんも「あくまで自説であって勝手に載せられて困っている。削除を申し出た(現在は削除済み)」旨を表明されていましたのであまり広まるのもどうかと思いコメントさせて頂きます。
2014/10/24(金) 12:39:06 |URL|ささ #- [EDIT]
◆さささん
ご指摘ありがとうございます。
学生時代の知識に無かったもので、新しく分かったのかな?と思っていたのですが、
その件は俗説だったのですか…!
「おっそうなんか、そらおもろい話やん!」と飛びついてしまいました。
単純に、神に最も近い狐、とだけしておけばよかったですね…!
注釈としてその旨を追記しておきました、ありがとうございます!
2014/10/27(月) 23:54:02 |URL|松乃雪 #- [EDIT]

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