アヴァターラというがいねんのおはなし。

2014/10/18, 09:00

■まずは余談
jackal.jpg


 先週→お狐様からダキニ天とヒンドゥー教のおはなし。
先々週→オリエンタルテーマCにある鳥居のおはなし。

に続きましての今回は、タイトル通りヴィシュヌさんとアヴァターラのおはなし。
の前に、先週の補足をつらつら。

ダキニ天、本来はジャッカルが使い(言い換えればジャッカルの精)ということは先週お伝えしました。
で、狐とジャッカルは見た目が似ているから、それを仲介として稲荷神と習合されたのも書きました。
ですがもちろん、この2種は別の動物。特性は違います。
くわえてインドと日本では文化も違いますから、受け止め方だって違います。

ジャッカルは狐よりは体が大きく肉食の傾向が強めで、人の死肉を漁りに墓場にも表れます。
エジプトではその姿をもとにアヌビス神が生まれたりするのですが、
実はジャッカルじゃなくて狼だったんじゃね?…という話はおいておきまして。
インドには「屍林(しりん)」という場所があります。文字通り、死んだ人を埋葬したり火葬する林ですね。
中には埋葬の手間をかけられることなく、捨てられて朽ち行く遺体もあったことでしょう。
その光景は現世の地獄風景、ひいては死後の世界の入り口なわけです。
そこ、あるいは付近で修業をする。(のがシヴァ派のルーツとかなんとか。)
死を身近に感じながら瞑想にふけることで、共にあろう、あるいは逃れようとして、
輪廻、悟り、解脱という概念に昇華されていったのでは…

という堅いお話はなんだか雰囲気が!ふんいきがちがう!

ともかく、ジャッカルが食料を求め、屍林に出入りしていたであろうことは想像に難くありません。
その姿を女悪鬼、あるいはその使いとして崇めたのがダキニのはじまり、と言われています。
それが仏教にとりこまれ(仏教的には打ち倒して仲間に入れてやり)、
日本に伝来し、既にあった狐への霊的・神的感覚を利用する形で定着=稲荷神と結びついた…
とされています。

こんなところで、まだまだ色々ありますけれど、ダキニさんのお話は一区切り。
続いてはダキニさんの上司(カーリー)の旦那さん(シヴァ)と同じ3最高神であり、
「アヴァターラ」の持ち主、ヴィシュヌの兄貴についてちょこっと触れたのち、アヴァターラのお話。
■ヴィシュヌの兄貴
1940s_Indian_Vintage_Print_Vishnu_With_Bhakta_Dhurva.jpg

ガルーダに乗るヴィシュヌ兄貴。
ジャッカルや狐も悪くありませんが、鳥の王となればもう別格です。
さすが兄貴だぜ。

先週ちらっと触れたとおり、ヴィシュヌの兄貴は10の化身(アヴァターラ)を持つとされます。
本来なら一個ずつご紹介していくのがスジですが、なにぶん長い。超長くなる。
それに今日は"ヴィシュヌ兄貴の武勇伝"のお話じゃなかった。
ので、一言でいえば「天地創造からこの世の終わりまで」です。
…というか、この世自体が、兄貴が目覚めるまでの夢。
次に兄貴が目覚めて天下ったら、それが世界の終わりという。
今はちょっと休憩中なんだそうです。ですが、ひとたび異変がおきたとなれば、

 「善を護るため、悪を滅ぼすため、正義を確立するため、時代から時代へ出現する。」

…もうこのフレーズだけで勝利確定ですよね。色々飛び越えちゃってる。(※神ですから)
なぜ世界の終わりが兄貴なの?というと、
上記のように、世に悪が栄えたとき。その世界をぶっ壊しに来るわけです。善をまもるために。
なぜ悪が栄えたのか、人間のせいなのか他の何かのせいなのかはわからないけども、
とりあえず悪が栄えてるからぶっ潰そうとします。
その時に生きてる人間も動物もとりあえず道連れにはなるけど、悪は滅びるよね的な。
潰した後にまた新しく世界作ればええかなって。そういう価値観です、神様は。(ざっくり
この時に現れるのが10番目のアヴァターラ、カルキさん。
まだ現れてはいないようですが、いつ表れることやら。
一説にはもういつ表れてもおかしくないそうですが、40万年くらい後かもしんない。ふめい。
白馬に乗った王子様だったり、馬頭の巨人が突然現れたら、それがきっとカルキさん。
ただ、本当にカルキさんであればどうしようもありませんが、基本不審者なので通報しましょうね。
あっでもお馬さんは軽車両だから誤通報はダメですよ!暴れん坊だったら将軍ですから余計ダメですよ!

あと一つ触れておけば、ブッダさん。仏教始祖の彼。
彼もヴィシュヌ兄貴のアヴァターラと(ヒンドゥー教では)位置付けられています。
いくら異教とはいえ同じインド、同郷のよしみで…なんてほっこりかと思えばそんなことなかった。
ブッダさんは、

神々「なんか最近魔族の奴らウザくね?かといってまた戦争すんのもなーめんどいなー」
 ↓
兄貴「俺に良い考えがある!」
 ↓
兄貴、ブッダとして地上へ
 ↓
兄貴(ブ)「魔族さん、この仏教という素晴らしい教えを修めればあなた達は強くなれる!」
 ↓
魔族「ホンマか!よっしゃ!たのむわ!」
 ↓
魔族、改宗
 ↓
ヒンドゥー世界の教えを手放した魔族は弱体化しましたー

…つまり「仏教とかいうフザけたお遊びを広めて(バカを炙り出すことで)世界を救った
といった形の、割とヒドい扱いではあります。異教徒は異教徒だから、ま、多少はね?
ただ、先週の記事で"インドにおける仏教衰退の原因"と書きましたが、迫害したのではなくて、

「○○っちゅう神様をお前らは信じとるんか…」
「…実はな、それヴィシュヌ兄貴のアヴァターラやねん」

という流れの、いわば美味しいとこどりの取り込み作戦を展開したためなのです。
「ばかばか!○○なんて神様いないの!悔い改めよー!」
と否定するのではなく、認めた上でさらに上位の存在としてヴィシュヌ兄貴を説く。
こうすることで現地民はそのまま土着の神を信仰できるし、
ヒンドゥー教的には、その神を従える形としたことで勢力が広がる…という関係。
日本の大日如来(天照大神)もヒンドゥーだと数ある神様の一人とされたりしますし。

そして、ここに挙げたもの以外を含め、いずれも「世界を救う」という目標は共通しています。
世界を救うために現れる。
ヴィシュヌとしてのアヴァターラの特徴はそこにあります。
というところで、アヴァターラという語についてのお話へ。

兄貴のアヴァターラがそれぞれ具体的に何をしたか、調べてみると面白いですよ!
わかりやすく解説しているサイトさんを見つけたので一応誘導。
 →天竺奇譚 - ヴィシュヌ



■?????
で、このアヴァターラという単語。
既に書いている通り、いわゆる「アバター」の語源です。
PSO2においては、私でいうところの松乃雪であるとか、あなたでいうホニャララであるとかですね。
もとの意味はサンスクリットで「低下、転落、降下」とあるように、神…この場合はヴィシュヌ兄貴が、
「この世におっこちてきた」状態をさします。意図をもって。
兄貴の場合は前述のように、世界を救うために。

私達の場合は、どうでしょう。
人それぞれですが、何かの目的のために、ゲーム世界に身を投じていますよね。
クエストをするのもそう、友人とお話をするのもそう。
ここで注目なのは、"投じる"方向の違いです。
肉体を基準に考えれば、

兄貴のアヴァターラは「あちら(神世界)」から「こちら」に向かっているのに対し、
私達のアヴァターラは「こちら」から「あちら(電子世界)に向かっています。


つまり、逆方向なんです。
肉体のある世界をA、精神・頭脳の中にだけ存在する世界をBとすれば、
兄貴はBからAにきており、私達はAからBへ向かっているわけです。
これだと、ちょっと違う気がする。
アメリカでシュークリームを注文したら靴磨きクリームが出てくる感じで違う。(※クリームパフが正解)


…しかし、視点を整えれば解決できます。
基準を肉体ではなく、精神に置き換えてみましょう。
私やあなた、ヴィシュヌの兄貴、それぞれ唯一の存在・精神が、
各々の目指すものがある世界へ下りたつ。
そうすれば、兄貴も私達も同じ、○○をするために別世界へ…の図式が成り立ちます。
これなら同じ語だといえそうですよね。
ということは、

 「アバターとは、アヴァターラを元にした概念である」
 「その本質は精神にある」


ことがわかります。



■アバターであるために
肉体世界では、年齢性別、環境という部分が、その人の評価として大きな割合を占めてしまいます。
精神に触れることは、なかなか難しい。
それこそ、上のような要素がノイズとなり、遠ざけられてしまいます。
無理ではないのですけどね。難易度的な意味でね。

しかし、私達のアヴァターラ…アバターは、私達ひとりひとりの、精神の映し鏡。
その世界に存在しない肉体は出発点ではなく、あくまでオマケのようなものです。
となれば、アバターとして発現するモノの前には、年齢性別環境等、多くのものが意味を持ちません。
アバターを通じられる世界は、肉体世界の要素を、かように良い塩梅に削ぎ落とします。
それゆえ、精神の部分で触れあうことをしやすい世界といえましょう。
学生さんもお医者さんも、フリーターもお母さんも、分け隔てなく存在できます。
その結果、肉体世界では出会えなかったであろう人と出会えることもあるし、
相手が男か女か、年上か年下かも分からないまま、打ち解けることができます。

肉体世界に不満があるから…も、震え立つような邂逅を求めて…も、どちらも存在できる。
何かの目標を成すために、下りたつことができる。

その世界と私達を繋ぐものを「アバター」と呼ぶのは、とても自然な気がします。



■らいしゅう
狐フェチのお話からぶっ飛んでまいりましたが、来週でピリオドとなります。
今回のアバターのお話…精神についての内容を受け、
精神世界での肉体、キャラクターにスポットライトをあててみたいと思います。
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COMMENT

お疲れ様です。
今回のお話はちょっと難しくてなんとか理解するがやっとです(;´∀`)でも、松乃雪さんの博学さに毎度びっくりですね、ホントすごい( ´∀`)
ところでジャッカルのとこはオオカミじゃないかという部分なのですが、あまり知られてないというか世間で誤解がされている事が多いのですが、「実はオオカミが人を襲うことはまずありません(迫真)」余程の飢餓状態にあっても人を襲うことは「稀」だそうです。(狂犬病になったオオカミが人に危害を加えることがあったりはします、さらに関係ないのですけど、有名な「オオカミ少年(嘘をつく少年)」でもラストに食べられたのは少年ではなくて少年が飼ってた羊でしたね( ´∀`))
ということで、人間の死肉を食べたりもあまりしなかったと思うのでここらへんはジャッカルで間違いはないのかも、とか思ってみたり・・(;´∀`)
(ジャッカルが人間の死肉を食べるのかも知らないですですけどね(ノ∀`)タハー)
・・・またまた本文とは関係ないコメントになってしまった・・毎度すいませんです、それでは(ノ∀`)
2014/10/18(土) 18:05:56 |URL|ルー #- [EDIT]
◆ルーさん
普段のココとは雰囲気が全然違う記事ですがコメントを毎度頂いて、なんだか恐縮です。
狼やジャッカルはとても頭がよく、狩猟対象として適切かの判断も優れているそうですね。
狼は体が大きく、敢えて新鮮でない死肉を漁らずともお腹一杯になれたことでしょうが、
ジャッカルはそれこそ狼に獲物を横取りされることもあるらしく(映像もあったり)、
なんとか生き延びるために、死肉漁りもしていたようです。
人間は肉が豊富…でも武器を持ち群れでいるから…あ、死肉ならいけるやん!な感じ。
アヌビス神のモチーフがどちらか?については少し言葉が足りませんでした(小声
エジプトに棲むジャッカルは「エジプトジャッカル(Egyptian jackal)」と呼ばれ、
DNAなりで調べた結果、これが実は狼の仲間だった…ということから、
エジプトジャッカルをモチーフにしたアヌビス、実は狼やってんね…なお話だったのです。
アヌビス神はその墓場に関係するジャッカルの姿から…
と、長くなりそうなのでこの辺で。またTwitterでやるかもしれません!
2014/10/19(日) 16:17:01 |URL|松乃雪 #- [EDIT]

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