あぬびす。

2014/10/21, 09:00

■犬系

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先日の記事(→アヴァターラというがいねん。)でチラっとだけ出たアヌビス神
古くからのエジプトの神様なのですが、ダキニさんを通じた狐・ジャッカルのお話で触れたのです。
そうしたら、どうにももう少し掘り下げたくなってしまった。狐とかオオカミとか好きなので。
そんなわけで、今回はこぼれ話として、私の知っている限りの脱線。
深く調べたことはない(学生時代にさらっと見た+書くにあたっての検索確認程度)ですから、
しっかりと勉強している方には粗も多いかと思いますので、突っ込み大歓迎です!
…今日はたぶんそんなに気持ち悪くないとも思いますし!

といったところで、まずアヌビス神とは何か?からいきましょう。
■じゃっかる
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アヌビスは、古代エジプトより祀られる神の一柱です。
生と死を司り、特に死者の守護神とされ、それが転じてミイラ作りの神ともなりました。
エジプト九柱神には数えられませんが、由緒正しいワンちゃん。もとい神様。
注意点は、死者の守護神であって"死神ではない"こと。
ミイラ作りの神様、職人の神様ですしね。そこまでは業務外なのです。
死んだ人の魂を冥府に導いたり、裁く役目(後述)を担ったりするのが本業。
他にも色々とお仕事をできるため、様々なものの神とされます。
ミイラ作り、墓守、送迎、事務手続き、etcetc。
それに応じて異名もいっぱい。どんなのがあるかは調べてみよう!(丸投げ

先にお伝えした通り、アヌビスはジャッカルがモチーフの神です。
詳しく聞いたことはなくとも、左の画像をみれば「あー」となる方は多そう。割と有名ですよね。
人の姿に犬っぽい頭が特徴的です。
人型ではこの姿ですが、獣型をとるときは普通のワンちゃん体型。
…という印象的な外見から、これに触れた外国人(当時のギリシア人)は



 「…なんやこいつ

とドン引きだったそうです。しかたないね。
でも、第一印象がよくないほど、後々触れた魅力に惹かれるもの。ギャップ効果。
結果、アヌビスはメルクリウスやヘルメスと結び付けられて信奉されたりします。
…その2柱について触れると大変なので、気になった方が調べてね!
で、本家アヌビス神の発祥は古く、紀元前ウン千年からの歴史を持つとされます。
それもそのはず、なんせ生と死を繋ぐ神ですから。
人間が人間たる以上、常に接してきた事柄です。長い歴史も納得!
古代エジプトでは「inpu(インプ)」と呼ばれたそうですが、西洋の小悪魔とはたぶん無関係。

さて、なぜジャッカルが神聖視…というか、神に結び付けられたのか?
冒頭でご紹介した記事群でも触れていますが、ジャッカルは肉食に近い動物です。
のですが、あんまり体が大きくないのですね。
成獣で大きくても100cmいかないくらい。これでもジャッカル界のジャイアント馬場扱い。
同じく肉食のオオカミは池乃めだかクラスで100cmですから、その差は歴然です。
くわえてオオカミは群れで行動しますが、ジャッカルは多くて家族単位。争えません。
同じ獲物を狙っても勝ち目はない。
…でもおにくたべたい。
となれば、食べ残しであったり、オオカミが手をつけない死肉を漁らねばなりません。
その餌食となったものの中には、生き倒れの人間もいたことでしょう。



■たましい
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喰われるのに神様なのか…と困惑するのも現代感覚ですが、当時とは色々と違います。
例えば新鮮な死体をミイラにする場合、鼻に棒突っ込んで脳味噌掻きだすこともあったのですが、
脳味噌は鼻水作る場所」と考えられ、雑に扱われた…なんて話もあるほど、現代とは違うワケです。
それに、ミイラ処理をされた遺体を漁られたら困ってしまいますが、
普通のお墓は入り口も封印されますから、食べられる心配はありません。
そうではない、顧みられることのない生き倒れや貧困層は、それこそ顧みられないわけで。
といった辺りも含めて、死生観やら常識は異なるものです。

で、そんな生き倒れの死肉を求めてでも良いし、安全なねぐらを探してでも良いのですが、
人間の墓所、あるいはそこを見下ろす丘などに、夜になるとジャッカルが現れるわけです。
その姿が、墓所を守っているように見えた…であるとか、
自慢の鼻を活かして生き倒れの人間を見つける(※その後おいしく頂きました)姿を、
何人も平等に見つけ出し、死後の世界へ案内してくれるように思えた…ために、
死者の守護神と考えられるようになったといわれます。

そこから、死者を導き、来世へと繋ぐ行為…亡骸のミイラ化を司る神とされたのですね。
体の色が黒っぽいのは、ミイラ加工をする際に使用するタールを示しているとか、
冥府の神であることをイメージした色彩であるとか、これまた諸説あります。
いずれにしても、ほとんどのお墓には、アヌビスが壁画として描かれています。
その人のミイラを作る姿であったり、墓を守る姿であったり。
ミイラがなければ転生ができないと考えていた当時の彼らですから、
それに携わる神を篤く信奉したのも、なるほど納得ですよね。



■脱線
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ミイラミイラと連呼していますが、当時のエジプトで実際どれほどのミイラ熱があったかといえば、
「ミイラになれないなら死んだ方がマシだ!」※死んでます
となるくらいには、皆さん"死んだらミイラ"だったようです。
元を辿ると、オシリスという偉い神様が悪い神様にバラバラ殺神事件されたとき、
アヌビスが適切に処理(ミイラ化)をしたため復活できた!ミイラってすげぇ!
というところから、アヌビス・ミイラ信仰がはじまったとされます。

ただ、もちろんミイラ化処理はタダではありません。
職人さんを呼び、道具や材料を購入し…と、現代のお葬式と同様。
当初は職人の数もノウハウも少ないためお値段が張り、王侯貴族だけが行えるものでした。
しかし文化の浸透に伴って価格競争がおき、平民は平民で、平民なりに、
故人の冥府における幸せと来世への願いを込められるようになったのです。

…のですがやはり、フル葬儀は厳しい。
特に"死者の書"と呼ばれる、ミイラと一緒に埋葬するパピルスがあるのですが、
これがおおよそ200章以上ありまして、全てを!となるとだいぶお高くついてしまう。
ですが、これを持たせないと、冥界での快適な生活や、健やかな転生が望めない。
そのため、それこそフレーズ単位でバラ売り(写本)していたようです。
こっちはより具体的だから効果高め!お値段も高め!とか、
こっちは短いからお値段安め、みたいな違いもあったのでしょう。
…供花の値段を検討する現代とダブりますよね。

例えばミイラは水分が大敵ですから「風雨に晒されないようにする呪文は入れとこう」とか、
逆に「高台の良いとこに場所取り出来たからええか」とかもあったでしょう。
「ご飯大好きやったし、豊穣の神(オシリス)様をヨイショする文いれとけばたらふく食えるやろ」とか。
バリューセット(防水/召使い1人セット)のようなものであるとか、
果ては名前を入れるだけのインスタント版まであったそうです。

…そこまでの幅広いニーズがあったのですから、象徴であるアヌビス信仰も納得です。



■はなしをもどす
book-of-deat-125.jpg
画像元→無限空間さん

そんなアヌビスさんの一番のお仕事は「死者の魂を量る」お仕事。
画像中央下にアヌビスさんの姿がみえますよね。
これは、左側にいる白い服をまとった女性(アニさん)の心臓を天秤にかけています。
この天秤が心臓の側に傾く=マアトさん(真実と秩序を司る女神)の羽根より重いと失格。
残念ながら右端のアメミットちゃんにぺろりと食べられてしまいます。
…このあたりもすごく掘り下げたいんですけど。
アメミットとかもう見た目からして凄いでしょ。これで女神ですからね。
何とか欲求を抑えて先に進みますが、このように死者を裁くお手伝いをしているのです。

流れとしては

死ぬ

アヌビスさんがミイラにしてくれる

魂をオシリスの審判(上の画像)の場に連れて行ってくれる

審判の場で罪の重さを計量してくれる

…と、だいぶ大車輪です。
そりゃあ信仰も盛んになるってもんです。



■ジャッカルorオオカミ
Egyptian_Jackal_At_Fayoum_By_Hatem_Moushir_1.jpg

といったところで突如話が現代に戻ります。
イヌ科の動物は、近年の研究でジャッカルやらオオカミやらから枝分かれしつつ、
それらが入り乱れつつ…な感じであることが分かってきたそうですが、
特にアヌビスのモチーフとされる"エジプトジャッカル"が、
実は遺伝的にはオオカミだった…という研究結果があるのです。

a WOLF in JACKAL's clothing (CHERYL LYN DYBAS)
エジプトジャッカルはオオカミに近いってDNA鑑定の結果でたで(MAIL Online)

名前はジャッカルなんだけど、オオカミ。
(日本語wikiには"エジプトジャッカル"の項目自体がなかった。英版にはあった→こちら)
このエジプトジャッカルは、キンイロジャッカルの亜種になるようです。
でもキンイロジャッカルはジャッカルなんですよね。
むつかしいことよくわかんないや。

また、その知名度やキャラ立ち(風貌的な意味で)から、色々な作品に登場しています。
公式設定(というとアレですが)を踏まえた性質や立ち位置もあれば、
単純に古代文明の象徴であるとか、古の呪い!みたいな扱いまで様々。
PSO2に噛ませられそうな部分としては、


scans-zone-of-the-enders_215125.jpg

ANUBIS ZONE OF THE ENDERS というゲーム。
いわゆるロボットもので、そこに↑の「アヌビス」が登場します。
キャストのパーツでいけるんじゃないですかコレ…!
アヌビスの異名の一つに「幾つもの弓の主」というものがありますから、Brで弓とか!
オートワードもそれっぽいのにするとか!どうですか!



■まとめ?
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というよりは急いで風呂敷を折り畳むと言う。

・アヌビスはエジプトジャッカルがモチーフだよ
・アヌビスは死神じゃないよ
・アヌビスは働き者だよ
・でもエジプトジャッカルはオオカミらしいよ
・古代エジプトおもしろいよ



この直上の画像は、ヒエログラフ(古代エジプトの文字)で「まつのゆき」。
あなたも試してみよう!

 → かな・ヒエログリフ変換
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COMMENT

アヌビスと言えばオシリス!オシリスときたらアリラト!
アリラトときたら・・・って某悪魔絵師のイラストが次々とw
神話系はやっぱり面白いですよね。ソロモン72柱のwikiとか見始めると時間ががが←
某戦車に乗った魔王様・・・は話題にしない方が良いですよねw
2014/10/21(火) 11:55:18 |URL|のこーぬ #- [EDIT]
お疲れ様です、フランス語で「狼」という意味のルーでっす!( ´∀`)
オオカミとジャッカルは遺伝子的に近い・・!ドドーン(落雷)
(・・・つまり鮭とサーモンの関係に近い感じd←)
調べてみたら、ジャッカルもやっぱり人を襲ったりした事例は皆無だそうですね、ジャッカルもオオカミと同じく、優しい生き物らしいので確かに同じ種類っぽいですね( ´∀`)
(そもそも、キツネ風の体格なので人襲っても返り討ちにされそうなイメージですが(;´∀`))
犬族が別々の国で神格化されてたり、例の「狐の嫁入り」とか偶然にしては出来過ぎですよね、やはりイヌ科(イヌ科族)にはなにか不思議な力があって、それが魅力になってるのかもしれませんね( ´∀`)
p.s.セブンスドラゴンのトリックスターもまさかの「二挺拳銃」でした・・、ついまし、トリックスター、キツネ、ジャッカル、オオカミ、、、やはり松乃雪さんとどこかつながっている、そんな気がします( ´∀`)
2014/10/21(火) 21:40:53 |URL|ルー #- [EDIT]
コメントありがとうございます。
◆のこーぬさん
仏陀さんの扱いなどもそうですが、他教の神の扱いであるとか、
それを吸収する、あるいは同一視させる時のやりとり等は面白いです!
日本だとキリスト教、ヤジローのお話とか。
マーラ様のお話はあかん、あかんてー!
◆ルーさん
狐とジャッカルと狼は、鮭とサーモンと鱒みたいなもの!
野生動物は産後などの特殊な時を除き、非常に臆病で警戒心が強いですしね。
その上頭も良いですから、わざわざ人間を狙わずとも、ですよね。
犬は人類と最も長く寄り添ってきた動物ですから、そこから…はもちろん、
犬に似ていながら懐かない種に、何らかの神秘性を感じたのかもしれません。
すこし狐目を意識してキャラクリしたのは何らかの潜在意識だった可能性!
2014/10/27(月) 23:57:34 |URL|松乃雪 #- [EDIT]

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